10月16日大塚病院地下1階吹抜けホールで公開講座「足は口ほどにものを言う〜外反母趾の話を中心に〜」を聴講してきました。講師は整形外科部長の豊島洋一先生です。講義概要は以下の通り
プレゼンテーションの主要テーマの概要
- 足の症状(こむら返り=筋痙攣、むくみ、外反母趾・関連変形)を、整形外科の視点と内科的原因の両面から整理。
- 単なる「足の問題」に見える症状でも、内科疾患や薬剤副作用が背景にあることが多く、適切な診療科への相談と生活習慣・装具(インソール)・手術を含む多面的な対処が必要であることを強調。
- 外反母趾では、靴選び・足底アーチの支え・手術適応の考え方まで実践的に解説。
主なポイントと重要事項
- こむら返り(足のつり)
- 正体は「不随意の筋痙攣」。放置で収まることもあるが、原因は多岐にわたる。
- 代表的原因: 水分・ミネラル(ナトリウム、カリウム、カルシウム)不足、過労・長距離歩行、高齢による筋・靭帯の変化、冷え。
- 見落としがちな原因: 腰部脊柱管狭窄症、下肢の動脈疾患などの内科的・血管性要因。
- 対処薬: 漢方「芍薬甘草湯」は即効性が高いが予防効果はない。肝臓(甘草)成分により血圧上昇の副作用あり、降圧薬調整が必要になることも。
- 予防・機能改善: 水分・電解質の適切な補給、ストレッチ、タンパク質・BCAA(例: アミノバイタル)の補給が有効なケースあり。
- 足のむくみ
- 足自体に原因がないことが多く、体質(いわゆる水太り)、静脈還流の低下、塩分過多、貧血、心不全など全身要因が関与。
- 薬剤性浮腫に注意: アムロジピン(降圧薬)で足のむくみが出ることがある。NSAIDs等による腎機能低下も間接的に関与しうる。
- 原則として内科へ相談し、薬剤見直しや全身評価を受ける。
- 用語と足部メカニクス
- 「レッグ(膝〜大腿などの長い部分)」と「フット(足部)」の区別を理解する重要性。
- 正常歩行は「かかと接地→外側へ荷重→親指で踏み返し」。偏平足などで第二趾側へ踏み返す癖がつくと、指が浮いて推進力が低下し、胼胝(タコ)・痛みの原因になる。
- 外反母趾と関連変形
- 親指が外側へ湾曲する変形。女性に多く、靴、加齢による筋・靭帯の緩みが背景。
- 小児にも生じる(最小は7歳の症例報告)。手術は成長がほぼ完了し、生活上深刻な痛みがある場合に検討(例: 15歳でローファー着用困難)。
- 外反母趾が進むと、他趾の居場所がなくなり「ハンマー趾」「クロウ趾」、小趾の「内反小趾」など二次変形を伴い、足底の痛みや胼胝の原因に。
- 稀に母趾MTP関節の変形性関節症(強剛母趾)も問題となる。
- インソール(靴敷)の活用
- 縦のアーチ(土踏まず)だけでなく、横アーチを支える設計が重要。
- 購入・作製の目安: 東急ハンズ等で市販インソール(2,000〜3,500円程度)を試す価値あり。デパートのシューフィッターに相談。整形外科クリニックでの作製が質の担保に有効。
- 注意点: 催事的な短期出店での作製は推奨しない。作製者と継続的にフォローできる体制が望ましい。
- メーカー事情: かつてASICSは個別対応に強かったが、近年は個人向け評価・サービスが縮小傾向で満足度は店舗により差が出る可能性。
- 手術適応と方針
- 外反母趾は「痛み」が手術判断の最重要基準。見た目の曲がりのみで困っていなければ、必ずしも手術は不要。
- 原因病態は母趾の変形であり、母趾をまっすぐに矯正する手術で他趾の圧迫・痛みを改善。
- 術後の画像で矯正効果が確認されている症例紹介あり。
重要な引用
- 「足がつる原因っていうのは、ほとんどが内科の病気です。」
- 「芍薬甘草湯は足のつりを止める特効薬ですが、予防効果はありません。」
- 「薬の副作用で足はむくみます。アムロジピンを飲み始めて足がむくむ人は、内科の先生に相談してください。」
- 「今ある足をうまく使っていかなきゃいけない。縦のアーチだけじゃなくて横のアーチも支えるインソールが大事です。」
- 「外反母趾の手術は、困った時、つまり痛みがある時に考えます。」
聴衆へのアクションポイント
- こむら返りへの即時対処
- 症状が出たら芍薬甘草湯を適切に使用。ただし血圧上昇のリスクがあるため、降圧薬内服中や高血圧の方は医師と相談。
- 水分・電解質(Na/K/Ca)補給とストレッチを日常に組み込む。タンパク質・BCAAの摂取も試験的に導入。
- 足のむくみ対策
- 体質・生活習慣の見直し(塩分控えめ)に加え、まず内科で評価を受ける。
- 現在の薬剤(特にアムロジピン、NSAIDs)の副作用を主治医と確認し、必要に応じて薬剤調整。
- 歩行改善と装具
- 自身の足跡・歩行を観察し、かかと→外側→親指への踏み返しができているかチェック。
- 市販インソールで縦・横アーチを支えるものを試し、合わなければシューフィッターや整形外科でオーダー作製を相談。
- 催事的な短期出店でのインソール作製は避け、継続フォロー可能な提供者を選ぶ。
- 外反母趾の自己管理と受診
- 痛みがなければ無理に手術しない。靴選びとインソールで負担軽減を図る。
- 学校・仕事の履物で痛みが強い場合は、整形外科で手術適応を含めて相談。
講義を聴講した感想は足の痛みを軽視せず早めに受診することの大切さです。靴に関してはシューヒッターの方にインソールを作成してもらうだけでQOLが大きく向上しそうと思いました。
日時:2026年10月16日 11:05〜11:25
会場:大塚病院B1F吹抜けホール


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