2026年5月18日大塚病院公開講座で「知っておきたい白内障〜最近の手術・眼内レンズの実際〜」を聴講してきました。講師は眼科医長譲原大輔先生で11時から11時30分まで大塚病院の地下1階吹き抜けホールで行われました。講演の要旨は以下の通りです。
講演の概要
本講演では、主に加齢によって引き起こされる目の疾患「白内障」について、その原因、症状、診断から最新の手術方法に至るまで、包括的な解説が行われました。白内障がどのように進行し、日常生活にどのような影響を及ぼすかを具体的な例を挙げて説明されました。さらに、点眼薬による進行予防から、根本的な治療法である手術について、特に手術で用いられる「眼内レンズ」の種類とそれぞれの特徴に焦点を当て、患者一人ひとりのライフスタイルに合わせた最適な選択肢を見つけることの重要性を強調されました。
主要なポイント
- 白内障の原因と症状
- 原因: 主な原因は加齢現象であり、40代から始まり、80代ではほぼ全員が発症するとされています。その他、糖尿病、アトピー性皮膚炎、ステロイド薬の長期使用、目の怪我なども原因となり得ます。
- メカニズム: 目の中のレンズの役割を果たす「水晶体」が、加齢などにより白く濁ることで発症します。
- 症状: 視界がかすむ、光が散乱して眩しく感じる、物が二重・三重に見える、視力が低下するといった症状が現れます。症状はゆっくり進行するため、本人が気づきにくい場合も多いです。
- 白内障手術のプロセス
- 手術のタイミング: 視力低下により日常生活に支障をきたした時が手術を検討するタイミングです。「視力がいくつになったら手術」という明確な基準はなく、本人の不便さが判断基準となります。
- 術前検査: 手術が可能かどうかを判断するため、全身の健康状態の確認と、眼内レンズの度数を決めるための詳細な目の検査(眼軸長、角膜形状測定など)が行われます。
- 手術方法: 手術は局所麻酔(点眼麻酔)で行われ、所要時間は通常10分から15分程度です。濁った水晶体を超音波で砕いて吸引し、その代わりに人工の「眼内レンズ」を挿入します。傷口は約2.4mmと非常に小さく、縫合は不要です。
- 眼内レンズの種類と選択
- 単焦点眼内レンズ(保険適用): ピントが合う距離が1点(遠方、中間、または近方)のみに限定されます。ピントを合わせた距離のものは非常に鮮明に見えますが、それ以外の距離を見るためには眼鏡が必要となります。
- 多焦点眼内レンズ(選定療養/自由診療): 複数の距離にピントが合うように設計されています。眼鏡への依存度を減らすことが可能ですが、単焦点レンズに比べて見え方の鮮明さが若干劣ることや、夜間に光がにじんで見える「ハロー・グレア」といった現象が起こりやすいという特性があります。
- レンズ選択の重要性: 眼内レンズは一度挿入すると生涯使用するものです。そのため、手術前に自身のライフスタイル(運転、読書、ゴルフ、PC作業など)を医師と詳細に話し合い、どの距離を最も重視したいかを明確にして、最適なレンズを選択することが極めて重要です。
- 手術のリスクと術後ケア
- リスク: 最も注意すべき合併症は「感染症」です。頻度は数千件に1件と稀ですが、発症すると視力回復が困難になる可能性があります。
- 術後ケア: 感染予防のため、術後しばらくは医師の指示に従い、点眼薬の使用、洗顔・洗髪の制限、目の保護などを徹底する必要があります。
講演からのキーフレーズ
「ご本人が日常生活で不便を感じましたら(手術を検討する時期です)。見え方に不満が出て、メガネをかけてもよく見えない、その状態であれば(手術を考えましょう)」
「手術自体は、診断されたからといってすぐやらないといけないわけではありません。本当にご自身でよく考えてから手術に踏み切るのが良いでしょう」
「本当に何を手術後にしたいのか、どういう生活を送りたいのか、そういうのを明確にしていただいて、『こうしましょう』と打ち合わせることが(最適なレンズ選びには)大事になります」
聴講者が実践すべきアクションポイント
- 見え方の変化に注意を払う: 「かすみ」「眩しさ」「視力低下」など、以前との見え方の違いを感じたら、自己判断せずに早めに眼科を受診しましょう。
- 自身のライフスタイルを明確にする: もし白内障手術を受けることになった場合、自分が日常生活でどの距離(遠くの景色、テレビ、パソコン画面、手元のスマートフォンや本など)を最も快適に見たいのかを具体的に整理しておきましょう。
- 医師と十分に相談する: 手術や眼内レンズには様々な選択肢があります。費用面も含め、分からないことや不安なことは遠慮なく医師に質問し、納得した上で治療方針を決定することが重要です。
- 術後の自己管理を徹底する: 手術が成功しても、その後のケアが視力の回復を左右します。感染症などのリスクを避けるため、医師や看護師の指示を厳守し、術後の生活制限を守りましょう。

個人的な感想としては白内障の症状を改善するには手術をするしかなく、目薬の点眼は進行を遅らせる効果しかないとの話は軽いショックを受けました。白内障は眼の老化現象ならば今より改善することはないと理解したからです。定期的に眼科に受診し白内障の進行を確認する必要性を感じました。
次回講演:「くも膜下出血〜脳動脈瘤について〜」令和8年6月18日(木)11時〜


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