ヒアリングフレイル講演会を聴講してきました。

イベント

7月18日としま産業プラザで開催されたヒアリングフレイル講演会を聴講してきました。この講演は豊島区高齢福祉課 介護予防認知症対策グループが主催し講師は豊島区医師会の猪狩和子先生(耳鼻咽喉科北川医院院長)でした。参加者は約40名で既に補聴器を使用している世代の方々で男女比は1:9で女性が多かったです。講演の内容は以下の通りです。

豊島区の取り組み

  • フレイル予防の三本柱:運動・栄養・社会参加。聴力低下と認知症の関係に着目し、2020年度から補聴器購入費助成、2021年度からヒアリングフレイル講演会を継続。2024年以降は医師講演・相談・認定補聴器技能者による簡易検査のセット事業を実施。
  • 新事業:
    • シルバーパス助成:2026年10月利用開始。区が11,000円補助。手続きは2026年10月受付、詳細は9月告知予定。
    • 区内共通商品券3,000円:75歳以上へ2026年10月以降配布(社会参加促進)。
  • 既存サービスと相談窓口:
    • お達者カードで65歳以上は区内公衆浴場100円。
    • 各地区の高齢者総合相談センター(区内8か所)または高齢者福祉課で各種制度相談。

ヒアリングフレイルと認知症

  • 定義:耳の聞き取り能力の虚弱。放置で活力低下、社会的孤立、うつ、認知機能低下のリスク上昇。
  • 症状:反応低下、人付き合い困難、引きこもり、怒りっぽさ、テレビ視聴の減少など。認知症初期症状と類似する場合があり判別が難しいため、難聴対策(補聴器等)を先行的に検討する重要性。
  • 脳への影響:聞こえ刺激の減少で脳が萎縮し認知機能が低下。補聴器により聞こえが回復すると生活意欲や表情が改善。
  • データ:改善可能な認知症危険因子は35%で、難聴が最大(9%)。難聴の改善で認知症予防に寄与。男性高齢者の認知機能へ難聴の関与が顕著。
  • 高齢者の難聴頻度:80歳以上で男性84%、女性73%が難聴。

加齢性難聴のメカニズム・検査と治療展望

  • 聴力低下は高音域から始まり、ベル・電話・タイマーなどが聞こえにくくなる。耳鳴りを伴うことあり。
  • 耳垢や中耳炎など伝音性原因は耳鼻科治療で改善可能。加齢性難聴は内耳有毛細胞の減少による感音性が主因。
  • 音の伝達:鼓膜→耳小骨で増幅→蝸牛のリンパ液振動→有毛細胞刺激→聴覚認知。細胞消失で感知不能。
  • iPS細胞研究:試験管レベルで有毛細胞作製に成功。将来的な移植・再生医療の可能性があるが、現状は高額かつ臨床段階未到達。当面は補聴器が主対策。
  • 検査:純音聴力検査に加え語音検査で言葉の聞き分け能力を評価。音は聞こえるが理解が難しいタイプの把握に必須。

予防と生活習慣

  • 音への配慮:適度な音量、騒音回避(スピーカー前など)、耳栓活用、長時間イヤホン聴取の中断(1時間ごとに休憩)、就寝時の音出しの回避。
  • 生活習慣:規則正しい生活、十分な睡眠、栄養バランス、適度な運動、血流改善。禁煙と受動喫煙回避。アルコール・カフェインの過剰摂取を控える。
  • 食事:有毛細胞の血流・神経修復に寄与する栄養素を意識。
    • 亜鉛(牡蠣、豚レバー)
    • ビタミンB群(魚、メチコバール等)
    • オメガ3(イワシ、サバ)
    • マグネシウム(海藻)
    • 伝統的な「まごわやさしい」和食でバランス良く摂取。

早期発見・簡易チェック・区の無料検診

  • ヒアリングフレイルチェック:区民広場などで「ちょう能力アプリ」を用いたゲーム感覚の簡易検査を提供。指標60%未満は難聴疑いで耳鼻科受診推奨。自覚しづらい難聴に気づく契機として好評。
  • 無料の検診・相談:
    • 特定健診・高齢者健診で希望により耳鼻科聴力検査が可能。
    • ヒアリングフレイル相談会:年3回(2026年度は6月26日・西部区民事務所、受付8月19日開始)。
    • 福祉健康まつり:2026年12月6日・区民センター。簡易聴力検査・補聴器相談(助成案内等)無料。

補聴器の効果・導入・フィッティング

  • 認知機能への効果:補聴器装用で認知機能低下の抑制が研究で確認。82歳女性事例で聴力・認知機能が改善。
  • 導入判断:日常の聞き取り困難、会話不全、呼びかけ反応低下が顕在化したら検討。本人の使用意欲が成功の鍵。
  • 医療的評価:耳鼻科で聴力程度・語音認識を評価。一般に40dB以上で装用推奨だが、語音認識低下などで医師が有益と判断するケースあり。
  • 豊島区助成:軽度難聴でも医師診断書で必要性が認められれば対象。早期装用は操作習熟・認知症予防の観点で推奨。

補聴器の種類・特徴・集音器との違い

  • 耳かけ式:小型化・ワイヤー細化で目立たず扱いやすい。メガネ併用で外れやすさの声あり。幅広い難聴に対応。
  • カナル式・耳内式:目立たないが紛失・誤使用事故に注意。耳形状による適合差、操作が細かく難しい場合あり。
  • 箱型:扱いやすく構造が簡単。本体位置に環境音取り込みが依存。
  • 近年の機器:デジタル集音器、ペン型、ポケット型、受話器型など。寝たきりでは受話器型が有用な場合あり。
  • 集音器との差:補聴器は医療機器で個別フィッティング、騒音抑制・聞き取り改善機能が充実。集音器は安価だが機能が限定され、医療的推奨は弱い。用途限定なら一部活用可。
  • フィッティング:個別調整が必須で2〜3ヶ月以上かかることも。適切な調整で快適な長時間使用が可能。「うるさい」は調整不良のことが多い。

購入・試用・専門店・費用・支援

  • 試用:購入前に試用可能。合わなければ購入不要。
  • 専門家:認定補聴器技能者がいる専門店での購入が推奨。耳鼻科から適切な店舗を紹介可。区は認定技能者在籍店舗一覧を提供。
  • 難聴タイプの多様性:純音聴力正常でも語音認識低下(40〜60%)があり、調整難易度が高いため熟練技能者が重要。
  • 価格と選定:10〜20万円など高額になりがちだが、必要十分な性能で無理のない選択を。高価機は騒音抑制充実でトレーニング期間短縮傾向。
  • 公的支援・税制:
    • 身体障害者認定(両側高度難聴)で補聴器費用9割給付。
    • 難病(重症突発性難聴など)での支援の可能性。
    • 豊島区の助成は軽度でも医師診断で対象。海外対応の拡充言及あり。
    • 医療費控除の対象。補聴器相談員発行の「補聴器適合に関する情報提供書」で税務署手続き可。販売店でも適用手続き支援。

認知症予防のお話がメインでしたが、これから難聴に気をつけるべき年代の聴講者は少なかったです。講演内容は難聴予防や聴力低下が認知症につながる事例などたいへん為になるお話でしたので予防世代が少ないのは勿体無いと思いました。私自身は難聴と認知症に関することが多く知れ非常に勉強になりました。ありがとうございました。

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